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「人間の幸せとは」

                              2017年10月 巻頭文

 せみの鳴き声から秋の虫達の鳴き声に変わり、これからの季節、外遊びも存分に
楽しめそうですね。元気に走り回るお子さん達の姿が目に浮かぶようです。

 さて、皆さまは障がい者を半数以上雇っている会社をご存知でしょうか。
以前テレビで放映されていたのでご存知の方も沢山いらっしゃると思います
私は、2008年頃のそれは知らないのですが、一か月半くらい前でしょうか、
その会社のことを同じくテレビで知りました。そこで紹介されていた
「虹色のチョーク」という本をさっそく読んでみました。
この会社の社長さんは3代目で、今は会長職になっているお父さんから会社を
引き継いだのですが、お父さんの時代に知的障害のある方たちを雇い入れたとのこと。
当初は、お父さん自身も障がい者を雇うことに不安や迷いがあったらしいです。
その迷いの時に出会った禅僧の言葉が障がい者雇用を確固としたものにしたそうです。
その言葉とは、

曰はく、物やお金をもらうことが人としての幸せではない

人に愛されること

人に褒められること

人の役に立つこと

人から必要とされること

この4つが人間の究極の幸せである――と。
これらの言葉がまさに目から鱗が落ちる思いでした。」と会長さんは語られています。
現社長さんに代わった当時は売上等会社の経営を考えると、健常者のほうが効率が
上がって良いのではないかと会議の席で提案もされたようです。
しかし、お父さんの代から共に働いてきた方たちは、障害者と共に働くことに違和感はなく、
ごく普通のこととして受け止めていたようです。
そして、この思いを受け継ぎ、今ではこの会社に障がい者の方達はなくてはならない存在とのこと。「会社は、売り上げを上げるためだけに、利益を上げるためだけに、存在しているのではない
と私は思っています。人は人に必要とされてこそ、幸せを感じられます。
楽しい、やりがいがあると感じられる仕事があってこそ、人は誇りを持てるのです。」
と本の中に書かれています。

 昨年、神奈川の障がい者施設で19名もの方が「社会のお荷物」のように言われ、
理不尽な理由で殺される事件がありましたが、健常者は素晴らしいものなのでしょうか?
障がい者だから素晴らしくないのでしょうか?
先月のニュースレターで本嶋保育士が書いていましたが、「あなたはあなたでいい」
生きているだけで素晴らしい」――実にこの通りだと思います。

 障害を抱える子ども達を観察することで子どもの発達、人間の生き方を見出した
モンテッソーリがこの事件を知ったらどう感じただろうと思いながら本を読み、
いつの日かこの会社を見学してみたいと思いながら本を閉じました。
                   フロンティアキッズ上町 施設長 田原 彰子


         

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