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「災害ごっこ」

2020年 5月

 新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって、世田谷区でも4月20日から始まった休園が5月31日まで続くことになりました。大人ですらいつまでこの状況が続くのかと不安は尽きないですが、子どもたちはこの非常事態からどのようなことを感じるのでしょうか。
 
 1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災の後に、被災地の子どもたちの間で「地震ごっこ/津波ごっこ」という遊びが見られました。例えば、家具を「震度6!」と言って揺らしたり、「津波が来たぞー!」と叫びながら鬼ごっこをしたりなどですが、こういった姿は直接的な被害の無い地域の子ども達にもこういった遊びが確認されたと言われています。
 また自然災害だけでなく、バスジャックに遭った子どもが生還した後に、バスジャックごっこをしたという話もあります。
 
 同じことが今回のこの新型コロナウィルスでも起きています。
 
 例えば「コロナウィルスだー!」と棒を振り回してみたり、「あなたはコロナウィルスです」とお医者さんごっこをしてみたり、影踏みを応用したような「ソーシャルディスタンス鬼ごっこ」など、世界の各地で子どもたちによる「コロナごっこ」が見られています。
 こういった子どもたちの姿は心理学の観点からは、子どもたちが災害のトラウマやストレスを乗り越えるために本能的におこなう「遊びの形をとった自己治療の試み」または「自己治癒あそび」などと言われます。
 周囲の大人からすると非常に不謹慎に見えるので、叱ってでもやめさせたくなります。しかし、ごっこ遊びを通じて、子どもたちは自ら台本を作り、恐ろしい出来事の結末を変えてみたり、いろいろな解決方法を試してみることができます。そうやって自分の中の不安とうまく付き合い、「自己治癒」しようとしているのです。
 
 現在の状況は大きな自然災害や犯罪による被害とは異なり、日常生活の中にじわじわと存在し続ける不自由さや、ピリピリした雰囲気を子どもたちも感じ取っています。
 連日のニュースを見ては暗い顔になる大人たち、会話もコロナばっかり、楽しみにしていたお出かけは全部中止、どうもこの病気で死んじゃう人もいるようだ、お父さんもお母さんも家にいるけど休みじゃないらしい等々、自然災害などよりも分かりにくいからこそ、子ども達も大きな不安を感じているのかもしれません。子どもたちの不安に寄り添い、子どもたちの「自己治癒力」を信じていきたいと思います。
 
 とはいえ、不安なのは大人も同じです。
子どもとずっと一緒で息が詰まる…子どもの行動がちょっと心配…そんな時はぜひぜひ保育園にご相談ください!
フロンティアキッズ上馬 施設長
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