秋も深まり、朝晩の冷え込みが少しずつ増してきました。紅葉が美しく色づき、園庭にも落ち葉が舞う季節。子どもたちはお散歩中にどんぐりを拾ったり、さつまいもや柿といった秋の味覚を嗜んだりと、この時期ならではなことを楽しんでいます。
2学期も終わりが近づいてきました。春の入園・進級の頃を思い返すと、お子さんが家庭での生活や園での経験を通して心身ともに成長をしたことを沢山感じられたのではないでしょうか。その一方で進級を目前にして、つい焦りを感じることもあるかと思います。周囲の同学年のお友達と比較して「〇〇ができていない」と感じたり、「こう育ってほしいのに」と思い描いていた姿との差を感じたり。
前職で幼稚園教諭をしていた際に、私自身そういった焦りを感じていました。当時初めてクラス担任を受け持ち、右も左もわからない状態で目の前の事に必死に取り組んでいました。心に余裕が無くなってくると同学年のクラスの先生と比べて自分の至らないことに落ち込んだり、「もっと子ども達にこんなことを身につけて進級させてあげたい」と試行錯誤し、答えがない毎日に悩んだりしていました。
そんな中、保育の研修で「ネガティブケイパビリティ」という言葉に出会い、考え方が変わりました。ネガティブケイパビリティとは精神医学の言葉で「すぐに答えが出ない状況や矛盾、不確実性を受け入れながら思考を続ける能力」を示します。保育に当てはめると子どもとの関わりの中で「答えが見つからない問題」や「先が見えない不安定な状況」に直面した際に、焦らずに向き合っていく力といえるでしょう。
大人はどうしても0か100かで考え、良いか悪いかで判断し、結果を急いでしまいがちです。「本当はこうであるべき」とルールや常識、規範に当てはめようとすることもあります。しかし、子どもの育ちには必ずしも「これが正解」というものは無いのです。育ちも個性も心身の発達も十人十色、それを受け止め、問題が起こったときにはすぐに答えを出そうとせず、立ち止まってじっくり考えることで自分が抱いていた不安感や焦り、落ち込んだ気持ちを落ち着けることができました。
子どもにとって一番嬉しいことは周囲の大人が笑顔で、心穏やかに過ごす事です。
ネガティブケイパビリティという考え方は子どもに関わる大人のつい張りつめてしまいがちな心をやわらかくする、おまじないになると考えています。成長させてあげなきゃと思いすぎず、どうしようと抱え込まなくてよいのです。子どもにはしっかり力が備わっています。その持ち得ている力を信じ、今ある子どものありのままの姿を受け止めて、成長をじっくり見守りましょう。
フロンティアキッズ市ヶ谷
近藤 さえ