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「成功の秘訣は、粘り強くやり遂げる力~GRIT」

2021年 6月

 今、教育界で最も重視されている「GRIT」という言葉があります。「粘り強くやり遂げる力」という意味です。この言葉を初めて聞いたのは、先日、会社主催のモンテッソーリ教育研修会で、講師の吉祥寺こどもの家の園長及びラ・パーチェのコース長、百枝義雄先生の講義の時でした。

 GRITとは、「Guts=勇気」「Resilience=復元力」「Initiative=自発性」「Tenacity=執念」の頭文字で、アメリカの大学の研究により、様々な分野で活躍する人々を調査した結果、GRITが成功の秘訣、要因に繋がると結論に至りました。どんなに知性や才能があっても、すぐに諦めていては成果は得られません。GRITを高めることで、興味や好奇心を持ったことに対して熱意を持って粘り強く納得いくまで取り組むことで達成、成功し、それが生き抜く力に繋がるといいます。さらに注目すべき点は、GRITはIQの高さや才能の有無に関係なく誰でも伸ばすことができるもので、子どものうちに育てることが重要だということです。

 粘り強い子どもを育てるポイントは、子どもが興味を持って夢中になったことを最後まで、自分で納得いくまでやり続けることができる環境を与え、満足感、達成感が得られる成功体験をたくさん繰り返すことです。そして、褒めるときのポイントは、出来た結果を褒めるのではなく、そこまでに至ったプロセス、その努力を褒めることが重要です。

 最近暗い話題が続く中、希望の光のような明るいニュースが飛び込んで来ました。埼玉県に住むカブトムシが大好きな小学6年生(12歳)の少年柴田亮さんが、「カブトムシは夜行性」という昆虫学者の定説を覆す素晴らしい発見をしました。カブトムシは夜行性だという常識がありましたが、餌場として利用する植物種によって、活動時間が変化し、昼間も活動することがわかったのです。世紀の大発見です。そしてそれがアメリカの生態学専門誌『Ecology』に掲載されたのです。

 カブトムシの調査を始めたきっかけは、小学校4年生の時、庭のシマトネリコ(沖縄や台湾、フィリピンなど、亜熱帯から熱帯地域に自生している半常緑の高木)には、なぜか昼間もたくさんカブトムシが集まって活動していることを発見し、不思議に思い、調べ始めたそうです。時間帯ごとに個体数を毎日数えて記録。研究の参考図書の著者、山口大理学部教授の小島渉先生から研究のヒント、アドバイスを得ながら、毎日早朝から深夜にかけ3~5回数え続け、集まったカブトムシ162匹の背中にアクリル絵の具で番号をつけ、個体数、滞在時間等を調査しました。夜が明けて明るくなっても多くの個体がシマトネリコにとどまり、エサを食べたり交尾をしたりと活動を続けていることが判明。そのデータを基に大学教授の小島渉先生の協力を得ながら論文を作成。それがアメリカの生態学専門誌に掲載されました。

 2年間毎日この調査、ものすごい根気ですね。この粘り強さが成功に導いたのでしょう。まさに、 「GRIT」ですね。今回の研究からは明らかにされていない樹液の量や栄養価、成分の違いなどの関係性の研究が今後も続くそうです。粘り強くやり遂げる力=生き抜く力を養える保育、教育を目指して日々努力していきたいと思っております。

Frontierkids Global School 施設長

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