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「モンテッソーリ教育とは、知育ではなく、平和を目指した教育」

2021年 3月 

 皆様は、モンテッソーリ教育を早期教育や英才教育を行う教育法だと考えていらっしゃるでしょうか。確かに、モンテッソーリ教育を扱う園では、論理的思考や洗練された指先を身につけるための教具や、言語の分野では文字や文法を。数の分野では4桁の四則計算や暗算を扱うための教具が用意されており、子ども達は年齢の早い段階からそれらの教具に触れ、自己の能力を開発していきます。
 これらは一見、早期教育のように見えますが、モンテッソーリ教育で何より大事なことは、子ども自身がそれらの教具を選択し、間違いがあれば自分で気付いて訂正し、自分が納得出来るまで取り組み、自分で自分を教育していくということです。教師は、子どもの発達や年齢、個々の様子等に応じて相応しいと思う教具に誘ったり、提示をして使い方を示したりしますが、その子どもがもっとやりたい、楽しいと思わなければ無理強いはしません。簡単だと思えば、より難しいものを提供していけるように、より高度な教具が準備されています。したがって、園に存在している教具でも、子どもによっては出会ったことのない教具があるかも知れません。しかし、全ての分野の教具において共通して言えることは、モンテッソーリ教育とは、一人ひとりの子どもが、その子どもらしく自立して生きていくためのプログラムであり、全ては平和教育に繋がっているということです。


 ローマのサン・ロレンツォにて彼女が初めて開設した子どもの家では、悲惨で貧困な生活を余儀なくされ、日常的なしつけはほとんど行われていなかった子ども達と共に過ごしていましたが、そこで暮らす子ども達は、生活を通し素直で忍耐強く、礼儀正しく、規律を重んずるようになりました。
それは、一つ一つの動作や、これまでできなかったことができるようになっていくプロセスを経ていくことで、子ども達は行動の主人公となり、自己を開放させ、自己欲求を満たすことができる環境の中で自由を獲得することができたからなのです。マリア・モンテッソーリは、規律がしっかりと身に付いた子どもとは、まず「自分自身の主人」であり、自由とは自分の成すことを自分で考えるということで、自由から自ずと規律が生まれ、自分自身をコントロールすることができるのだと述べています。


 モンテッソーリ教育では、子ども達が潜在意識内に秘めた様々な敏感期に適応した自己欲求を満たしていくことが何よりも重要であり、自由を通して得た自立心は、自制を育て、人への思いやりや、平和への思いも育むのです。
 マリア・モンテッソーリは、第一次世界大戦、スペインの内戦、第二次世界大戦を経験しました。彼女は平和を、政治ではなく、教育によってこそ実現できるはずだと期待しています。
 今、地球上の人々はパンデミックにより新しい日常を強いられ、健康への関心はもちろんそうですが、他者への思いやりや、平和とは何かを改めて考えさせられる毎日です。皆様も、今一度原点に立ち返り、子ども達と平和について話し合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。

FrontierKids GlobalSchool 浅野公介

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