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生命の安全教育(性教育)について

8月31日までとても暑い真夏日がずっと続いておりましたが、9月1日から一気に秋になりましたね。

いつもは9月に入っても残暑厳しい夏日が続くことが多いのですが、今年は、カレンダーをめくったとたんに秋に早変わり。

プール活動を9月に入ってもしばらく続けようかと思っておりましたが、今年のプールは、8月の最終日に終了となりました。

大人にとっては、涼しくなってだいぶ過ごしやすく楽になりましたが、水遊びが大好きな子ども達にとっては、心の準備がないままラストとなり残念…という感じかもしれません。

しかし、季節の移り変わりは、自然の流れなので、また来年の夏を楽しみにしましょうね。

 

2021年8月31日、今年度最後のプール遊びの様子です。

 

プール活動は、水の楽しさだけではなく、様々な大切な気づきを与えてくれる活動で、今まで気にならなかった”人間の身体”にとても興味を持ち始めるきっかけにもなります。

また、3~4歳くらいになると、お友達と一緒に遊ぶことがとても楽しくて、ごっこ遊びを盛んに行うようになります。

そのごっこ遊びの中で、子ども達が大好きな遊びがあります。

”お医者さんごっこ”です。このお医者さんごっこも「人間の身体」に興味を持ち始めたというサインのひとつです。

下記のページをご参考下さい。

>>>お医者さんごっこ -フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

>>>お医者さんごっこの遊び方と効果!子供の知育にも役立てよう

 

そんな子ども達の心の成長に、大人は準備をしておかなければなりません。

 

日本では、「性教育」と言葉を聞くのも発するのも、まだまだ躊躇してしまい、もっと先の話で、大きくなってから、と考える方がほとんどかもしれません。

しかし、実はジェンダー(性)への関心は、5~6歳くらいから始まります。早い子は4~5歳くらいから興味を持ち始めます。

男の子と女の子の身体の違い、なぜ?

から始まり、小動物、昆虫等のライフサイクルから興味を持ち、交尾をすることで赤ちゃんが生まれる、卵を産んで赤ちゃんが生まれる、

など、実は普通の興味関心なのです。

日本は、性教育に対してまだタブー感が強く、先進国の中で比べると遅れをとっていると言われております。

欧米では、未就学のうちから始めるのが普通で、低年齢から教育カリキュラムに含まれております。テキストは、生物学に繋がるようにも構成されているそうです。

園でも、アゲハチョウが羽化し、外に飛び立つ時、子ども達は、「蝶はこれからなにするの?どこに行くの?」と疑問に思います。

「蝶は、これから好きな相手を見つけて、パパとママになって、卵を産むのよ。蝶の仕事は、相手を見つけて卵を産むことなの。たった2週間しか生きられないから、蝶になったら早く外に逃がして、自由にしてあげようね。」と話しています。図鑑を見ながら、“交尾をして卵を産む”ということも自然な会話で伝えています。

 約30年くらい前ですが、アメリカ人の友達と学校教育の話になった時、性教育の教科書を見せてもらったことがありますが、当時の私には、ものすごく衝撃的で驚きました。日本で言えば高校生くらいの子が使う教科書でしたが、これが教科書?!という内容でした。しかし、驚いているのは日本人だけで、彼らは、学校で習うのは当然という感じでした。

「性教育」と聞くと、SEXのことを最初にイメージするかもしれませんが、実は、“自分を守る、自分の身体と心を自分で守る” 為の教育なのです。

水着ゾーンまたはプライベートゾーンと言いますが、水着で隠れている部分は、身体の大切なところで人に見せたり、触らせたりしてはいけない。

また、他人の水着ゾーンを触ったり見たりしてはいけないということも伝えることで、自分の身体と心を守ること、また相手を思いやることにも繋がります。

そしてさらに、自分の気持ちをはっきりと伝え、しっかり自己主張すること。

Yes , No をはっきりと言う、示す。嫌なら“嫌”と言えることがとても大切です。

また、嫌なことがあったら、身近な人にすぐに伝える、助けを求める、ひとりで悩まない、相談するということを小さい時から出来るようにすること。

それは、自分を愛し、大事にする自己肯定感を育むことにも繋がります。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)が提唱する「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、世界の標準的な性教育は「5歳から」としていますが、実情では、3歳から始めるべきと言われています。

3歳から始めるのがよいということには理由があります。

自己主張をしっかりする、自己肯定感を持つことを5歳から始めるのは遅いですし、これについては、0~2歳ですでに始めておかないといけません。

そして、現代社会では、2~3歳くらいの小さな子供が簡単にパソコンやスマホを扱い、気が付くとアダルトサイトに辿り着いているということも増えてきました。

コロナ禍の影響もあり、YouTubeなどの動画を見る機会が増えて来て、アニメなので子供向けかと思ったら、性的描写や暴力シーンが含まれているものに誘導されて見てしまうということも少なくありません。また、性犯罪などの被害も低年齢化しており、2~3歳から始めることで、性犯罪から守ることになります。

日本でも現在、内閣府と文部科学省の共同による調査研究事業で、学校教育における「性教育のガイダンス」の作成に力を入れ、進めている状況です。

そこで、プールが始まり、男女の身体の違いに子ども達は興味関心を抱き始めてきたことで、正しい理解と知識の為に、園でも性教育をしっかりカリキュラムとして取り入れていくことにしました。

まずは、文部科学省推奨の手引きを基に、教材 生命の安全教育教材 を使用して、読み聞かせを行いました。

子ども達は、凝視して紙芝居に見入り、真剣に話しを聞き、とても興味があることがわかりました。

性教育の最初の段階として、まずは、下記のねらいを伝えていくことにしました。

  • 自分の体は自分だけのものであり、大切にすること。
  • 自分だけの大切なところ(「水着で隠れる部分」等)は、見せたり、触らせたりしては いけないことを意識すること。 ※ 水着で隠れる部分は、「プライベートゾーン」、「プライベートパーツ」といわれることもある。
  • 自分の体を見られたり、触られたりして嫌な気持ちになったときの対応方法を身に付けられること。
  • 自分の体と同様に、相手の体も大切にすること。
  • 相手の大切なところを、見たり、触ったりしてはいけないことを意識すること。

 

性教育は、SDGs(持続可能な開発目標)でも課題になっている “ジェンダーの平等“ にも最終的には繋がっていきます。

目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」(ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る)です。

そして、そこを解決する為には、必然的に、

目標4の「質の高い教育をみんなに」(すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する)が必要ということに辿り着き、

目標10「人や国の不平等をなくそう」(国内および国家間の不平等を是正する)という精神が育まれ、グローバルな視点で物事を考えて、積極的に幅広く活動しようとする心が育まれると思います。

 

視野を広く、多様な価値観を尊重する精神を養う教育を目指していきたいと思っております。

 

 

下記は、アメリカで子どもの為の道徳教育向け(性教育)に作られたとても分かりやすい動画(YouTube )です。

consent for kids

 

 

下記は、上記の日本語ヴァージョンです。

Consent for kids (日本語版)

Consent とは、「同意」 という意味です。

Consent for kids は、性教育というよりももっと幅広い意味での道徳教育的要素が含まれており、いじめなど、人間関係のトラブルにも役立つと思います。

Consent for kids にあるように、同意の有無、意思表示など、自分にも、相手に対しても、どのように対処するのかは、子どもの時にしっかり出来るようにしておくことがとても大切ですね。

 

下記は、SDGs目標5の「ジェンダーの平等」が、幼児から小学生向けのお子様にもわかりやすく説明されている動画(YouTube )です。

SDGs目標5|ジェンダーびょうどうをじつげんしよう【こどもSDGs】

 

下記は、上記のプラスアルファで、中学生以上向きの動画(YouTube )になっています。

SDGs目標5|ジェンダー平等ってなに?【アニメでわかるSDGs】

 

 

【参考・引用資料】

 

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