子どもが自ら「発見」と出会うために

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子どもが自ら「発見」と出会うために

 「パパ見て!」
帰宅するなり、娘が私に見せたのは、虫かごに入ったハラビロカマキリでした。小学校で見つけ、飼いたくて連れて帰ってきたとのこと。我が家では昆虫飼育が親子共通の趣味なので、飼育すること自体に問題はないのですが、困ったことに餌となる小さな虫がいません。コオロギをネット注文しましたが到着までは2〜3日。「さて、それまで餌はどうしようか…」と話していると、「そうだ!」と何かひらめいた様子の娘。棚から取り出したのは、カニの餌として用意していた乾燥赤虫とピンセットでした。
 (生きてる虫しか食べないんだよなぁ…)と思いつつも見守っていると、娘はピンセットで赤虫をつまみ、カマキリの前でチラチラと動かします。やはり食いつきません。すると今度は、カマキリの顔だけが出るように手でそっと包み込んで握り、口元へ赤虫を近づけました。
なんとも大胆な方法だな…動物の赤ちゃんにミルクをあげる飼育員さんみたいだな…などと考えているうちに、「あっ!食べた!!」と嬉しそうな声。本当にムシャムシャと赤虫を食べています。
 私には到底思いつかない発想に、驚かされました。もし私が最初から「生きている虫しか食べないよ」と教えていたら、このような発見には至らなかったかもしれません。(生き物の適切な扱い方については、別の視点から考える必要があります。)

 

 先日、専門学校で保育学生や潜在保育士の方々に向けて『乳幼児期における探究活動』についてお話しする機会をいただきました。
 「探究活動」とは、日々の生活や遊びの中で、子どもたちが興味の対象と出会い、試行錯誤を重ねながら、新たな発見や問いに出会っていくこと。そんな話をする中で、私自身の失敗談についても触れました。それもまた、昆虫に関する出来事です。
 当時の私は、活動の導入として「昆虫というのは足が6本で、体は頭・胸・腹に分かれてて…」と説明をしました。子どもたちはその内容をすぐ覚え、知識は増えます。しかし、果たしてそれは「探究活動」と言うことができるでしょうか。
 もし、あのとき私が知識を教え込もうとするのではなく、子どもたちのすぐ手の届くところに昆虫図鑑を用意していたとします。図鑑に興味をもった子がページをめくり「あ、カブトムシだ。クワガタだ。」と見ていくうちに、「カブトムシの足は、1、2、3…6本。クワガタも6本。同じだね」「あれ?チョウも、セミも、トンボも…!」「あぁ、昆虫の足はみんな6本なんだ!」と自分で気付くことができたかもしれません。大人が知識を伝えることも、ときに大切です。しかし、教え込もう・正しい方へ導こうということに意識が向きすぎると、子どもたちが自分で気付き、発見する機会を奪ってしまう可能性があるのです。

 

 新たな「発見」をしたときの子どもたちの目の輝きは、私たち保育者にとっても嬉しい瞬間です。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初めての発見かもしれません。その小さな発見の積み重ねが、知ることの楽しさや「もっと知りたい」という気持ちを育んでいくのだと思います。

 

フロンティアキッズ新宿

施設長 石田拓也