前回は「ケンカってわるいこと?」というテーマで、子ども同士のトラブルも成長の機会になるというお話をしました。とはいえ、実際に我が子が悲しい思いをしたと聞けば、そんなふうに割り切れないこともあります。「うちの子がかわいそうで…」保護者の方から、そのようなお話を伺うことがあります。子どもが傷つく姿を見るのは、親としてとてもつらいことですよね。悲しい思いをしてほしくない、嫌な経験をさせたくないと思うのは、お子さんを大切に思っているからこその自然な気持ちだと思います。
一方で、子どもたちは日々の生活の中で、さまざまな経験を重ねながら成長しています。思い通りにならなかったこと。友だちと気持ちがぶつかったこと。仲直りできて嬉しかったこと。その一つひとつが、人との関わり方を学ぶ機会になっています。もちろん、悲しい経験を積極的にさせる必要はありません。大人が子どもを守ることはとても大切です。しかし、子どもには自分で気持ちを整理し、立ち直り、経験から学ぶ力も備わっています。園で子ども同士のトラブルがあった際、私たちは「何が起きたか」だけではなく、「その後の子どもの姿」も大切に見ています。泣いていた子が再び遊び始める姿。自分の思いを言葉で伝えようとする姿。相手の気持ちを少し気にかけるようになる姿。そうした姿の中に、子どもたちの成長を見ることがあります。
私たち大人は、つい目の前の出来事に目を向けがちです。しかし子どもたちは、その経験を通して少しずつ力を身につけています。ご家庭でも、お子さんが嫌だった出来事を話してくれた時には、まず「そうだったんだね」「嫌だったね」と気持ちを受け止めてみてください。その上で、「その後どうしたの?」「どういう気持ちだった?」と聞いてみると、お子さん自身が出来事を振り返るきっかけになるかもしれません。私たち大人は、子どもを守りたいと思うからこそ心配になります。その気持ちはとても大切なものです。そして同じように、子どもたちが持つ「乗り越える力」や「経験から学ぶ力」を信じることも、子どもの育ちを支える大切な関わりです。子どもたちは、私たち大人が思う以上に多くの力を持っています。その力を信じながら、園とご家庭で一緒に子どもたちの成長を見守っていけたらと思います。
フロンティアキッズ葛西 施設長
塚越 庄太郎