=アタッチメント理論=

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=アタッチメント理論=

 月日の過ぎるのは早いもので、今年もすでに半年が過ぎてしまいました。この季節は、児童生徒には夏休みが訪れ、暑さの中にも楽しみが沢山出てくる頃です。保育園には夏休みはありませんが、この暑い夏はプール遊び、水遊びという活動があり、子ども達も楽しみにしています。猛暑が続く毎日を水遊びで気持ちよく過ごさせてあげたいと思います。
 さて、皆様は下記にあげることについてどう思われますか。

 

□スキンシップを十分とれば、安定したアタッチメントが形成される
□愛着は、親が子どもに対して持つものである
□愛着していることは、依存していることだ
□アタッチメントは子ども時代に機能するもので、大人はもう関係ない

 

 数井みゆき先生という茨城大学教授の「アタッチメント理論」という研修に参加して学んできました。その先生のお話によると、「アタッチメント」というと、「愛着行動」とか「愛着関係」と捉えられがちですが、そういうことではなく、端的に言って「くっついていくこと」だそうです。

 

 例えば、大人はお腹が空いて倒れそうと思っても、自分で近くのコンビニなどに走り、とりあえず食べ物を購入して空腹を満たすことができる、しかし、赤ちゃんはお腹の空いたことを泣くことで訴えることしかできず、自分でコンビニに買いに行くことはできない。こんな時、そばにいる大人は(両親でも保育園の職員でも)「よしよし‥」と言ってミルクを飲ませて応えてあげる。

 

 このようなことから関係が付きアタッチメントが作られていくのだそうです。上の□の事項については、子がシグナルを出したときにスキンシップを取ることが大事で、親が子どもに向けるもの(愛情など)ではなく、子どもが親に向けていくもの。また、愛着と依存は違い、依存しっぱなしということではない。そして、アタッチメントは子ども時代だけのものではなく、大人でも関係してくるということでした。この例として、例えば健診で重篤な癌が見つかったという時、この時の不安な気持ちを誰かに聞いてもらいたいと思う。その時に誰に頼るか、親か友人か、はたまた恋人か・・・・。このように誰かにくっついていきたいと思うことがアタッチメント理論の基礎だそうです。

 

 生後1年頃の子どもを例に挙げて話されましたが、不安や危機感がない状態(ニュートラルな状態)の時には機嫌よく遊べるが、見知らぬ人や場所に遭遇したり、養育者の姿が見えない、病気を発症したなど危機を感じる状態になると不安で何とかしてほしいとシグナルを出します。その時に養育者とくっつく(抱いてもらったり、不安のもとを解消してもらえる)とほっとし、安心し、もとのニュートラル状態に戻ることができる。
これが「アタッチメントシステム」ということです。また、「安心感の輪」というものもあります。「安心の基地」というものが心の中にあり、子どもが「こういうことしたいから見守っていてね」とその基地から飛び出していく。養育者は「子どもより大きく、強く、賢く、そしてやさしい存在でいよう。できる時には子どもの要求をかなえてあげよう。必要な時には毅然と対応しよう」と構えている。子は行動を起こしている時にふと養育者の元に戻りたくなったり、心に痛手を負って戻ってくる。その戻る先が「安全な場所」であり、戻ってきたときにしっかり受け止めてあげる。これが「安心感の輪」であり、こうして出たり入ったりして子どもは自分を試していく。

 

 子どもが求めてきたときには無視することなくしっかり受け止め、大人のそばから離れていく時には子どもを信頼して遠くから見守ってあげる。このような関係づくりを子どもに関わる大人は作っていきたいですね。

 

フロンティアキッズ上町

施設長 田原  彰子