「負け」に負けない心の在り方

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「負け」に負けない心の在り方

 先日、アニメ「アン・シャーリー(原作:赤毛のアン / Eテレ)」を娘が見ていたので、なんとなく一緒に眺めていました。主人公アンが進学のための奨学金を得るべく、勉強で友人と競っている場面。負けてしまうかも…というプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、『一生懸命やって勝つことの次に素晴らしいのは、一生懸命やって負けることなのよ』と、どんな結果でも向き合おうとする姿に心を奪われ、ふと気付くと娘より夢中で見入っていました。

 もちろん、一生懸命にやって勝つことができたら、それに越したことはありません。

しかし、負けてしまったとしても、頑張ってきたそのプロセスは尊いものです。このようなプロセスを重視する言葉は「あなたは十分に頑張ったよ」と他者に向けて使うことはあっても、自分自身に向けることは案外難しいことなのではないでしょうか。負けたらやはり悔しいですし、自分の失敗に対して腹が立つこともあります。それでも「自分はこれだけ頑張った」と胸を張れれば、前を向いて進んで行けそうですね。

 

 では、このような“負け”や“失敗”にくじけないポジティブな心の在り方を、子どもたちに身に付けてもらうにはどうしたらよいのでしょうか。ポイントは二つあると考えます。

 

 一つ目は「経験」です。勝つ喜び、負ける悔しさ、どちらも経験することが大切です。悔しくて泣いた経験があるからこそ、勝てたときの本当の喜びを知ることができるのです。勝ってばかり、負けてばかりでは面白くありません。近年、運動会では勝敗をつけない傾向が見られます。このように、大勢の前では勝敗に配慮することが時に必要なこともありますが、そうでない場面でまで真剣勝負の機会を奪ってしまうことは、子どもの心の育ちにとって、非常にリスキーだと思います。ドッヂボールで負けて悔しかったこと。オセロで勝って嬉しかったこと。そういった経験の積み重ねが、「また頑張ってみよう」「また挑戦してみよう」というモチベーションにつながるのではないでしょうか。

(負けて癇癪を起こすことがあってもいい!)

 

 二つ目は「コミュニケーション」です。言葉には強い力があります。子どもたちにとって、私たち大人の言葉はとても影響力のあるものです。そのことを自覚して、コミュニケーションを大切にすることができたら、きっと子どもたちの心の育ちにも良い影響があるでしょう。先月の保護者会で、ある職員が「トイレトレーニングで失敗しても、“大丈夫だよ”と声をかけている」と話していました。安心して失敗できる環境は、子どものチャレンジ精神の支えになります。もし「なんで漏らしたの!」と失敗を咎められていたら、子どもは自信を失い「もうパンツをはきたくない」と思ってしまうかもしれません。

 

 私たち大人は子どもたちに対し、失敗体験・成功体験の先輩として、温かく寄り添えるモチベーターのような存在でありたいですね。

 

フロンティアキッズ新宿

施設長 石田 拓也