「子どもの日を前にして」

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「子どもの日を前にして」

 

 家の近くの川をまたぐようにして、近くの小学校の1年生が作った色とりどりの鯉のぼりが、5月の空に気持ちよさそうに泳ぐ季節になりました。
 

 新年度が始まって、早や1か月が経ちました。子ども達もすっかり新しい環境に慣れ毎日元気に遊んでいます。環境の変化に戸惑い、登園時に泣いてしまう子に後ろ髪を引かれる思いで職場に向かっていたことでしょう。どうぞご安心ください。保護者の方々から離れたお子さん達は、保育者の胸で気持ちを落ち着けた後、何事もなかったかのようにお友達やおもちゃに向かっていき、楽しく遊んでいます。

 

 空に泳ぐ鯉のぼりには、人生で遭遇する難関を鯉のように突破して立身出世して欲しいという願いが込められているそうです。「立身出世」とまでいかなくても、生きる力が逞しくて強く、更に縁起が良い鯉になぞらえて「元気に育ってほしい」という願いが込められているのは子を持つ親としてはうなづけることですね。

 

 以前「何故、大人は一年があっという間に感じるか」という話を記したことがありますが、"子どもには「ドキドキ」「ワクワク」があるので長く感じる。逆に大人はそういう気持ちがなくなってくるから、一年が短く感じるということがある。ということだそうです。”と記しました。子どものことがうらやましいと思える点は、他人の目を気にせず、思うがままに〝今″を生きられるところでしょうか。それ故に、大人が「ダメだよ」と言ってることをやってのける。大人は「もう!!」の連続で「牛になってしまうよ!!」と言いたい程。でも、その「ダメだ」という事柄をやっている時もさぞかし「ドキドキ、ワクワク」しているのでしょうね。こんな時に子どもにかける言葉は多分「やらないで!」という否定語だと思います。今、私達保育士は「否定語」を使わないようにしようと確認し合い、日々努力しています。例えば、お部屋を走る子に対して「走らないで!」と言いがちですが「歩こうね」と変えるようにしています。子どもの方も「○○しないで」と言うと余計やるように思います。この「否定しない言葉かけ」はかなり大変ですが、子どもも否定されるよりは、認めた言い方をしてもらえる方がうれしいですよね。次にあげる言葉は、「魔法の話し方」というものです。

 ①否定しない
     「走らない」→「歩こうね」
     「もう遊ぶのやめて」→「ごはん食べに行こう」
 ②命令しない
     「~しなさい」→「~しようね」
 ③気持ちに共感
     「泣かないの!」→「○○が悲しかったんだね」
 ④大人の気持ちを伝える
     「じっとしてなさい!」→「~してくれるとママ嬉しいな」

 

 他にも「ダメ!」のような禁止、「もう知らない!」のような放置、「無理!」のような拒否の言葉もつい使いがちですが、こどもは深く傷つきますので気を付けたいですね。ご家庭でも気を付けてみましょう。

 保育園でも、保育者の子どもにかける言葉で気になった時には職員同士、遠慮なく伝えるようにしています。
 

 将来を担っていく子ども達が、「ドキドキ、ワクワク」の気持ちをうんと発揮し、難関にぶつかった時にも乗り越えていけるよう逞しく育ってくれることを願いながらこの一年、子ども達への援助が出来ればと思っております。


フロンティアキッズ上町 施設長 田原彰子

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