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「異次元の少子化対策」

2023年4月

 岸田文雄首相がこの度打ち出した「異次元の少子化対策」。①経済的な支援の強化、②幼児教育・保育サービスの強化と子育て支援サービスの拡充、③働き方改革 と検討されていますが、皆様は何が一番急務だと思われますか。昨年の出生数が80万人を割り込んだ結果を受け、4月のこども家庭庁発足を待たずに「大胆な検討」が進められてきています。とはいえ、財源の問題は不透明ですね。弊社にとって直接的な影響のある施策は②となり、保育士比率(現状より手厚く)や、保育士の処遇改善などが検討されてきております。

 

 一方、①の経済的支援においては、児童手当の増額や給付対象の引き上げが検討されています。他、様々な論議が進められる中、私が注目した3つを紹介します。「(1)子育て世代の教育費負担の軽減策として、学生の時に奨学金を借りた人が出産した場合に、返済額を減免する。(2)3人産んだら遡って1人目までの教育費を無償にする。(3)塾や私学に流れないよう、公教育を充実させる。」というものです。この1年の異次元対策、良い方向に進むことを期待しましょう。

 

 ここで前述(3)についてですが、唱えたのは教育経済学者(慶応義塾大学教授 中室牧子さん)です。塾や私学に通うための費用が増え続け、教育に関心のある親が公立学校の質に満足できず自分たちで補完している。公教育の改善策の要は教職員の質。質の高い公教育は格差の縮小にもつながり、7人に1人の子が相対的貧困であれば、その子が質の高い公教育を受けられることにより将来就労して納税者になれば社会は恩恵を被り、投資リターンが大きい、とのことです。納得のいく内容でした。
 

 現代はYouTubeで優良な学びたい先生の授業を受けることもできます。2021年に創設された、某高等学校系列2校は、IT技術と定時制高校制度を駆使し、オンライン授業を基本とした合理的、効果的な教育システムを確立し、成果を上げています。私は最早、学校に定員を設けること自体に意味がなくなるのではないかと思い、今お預かりしているお子さんたちが大きくなった将来、学校はどのようになっているのだろうと思案します。オンラインでどこに住んでいても受けたい先生の授業を受けることができるのはメリットですが、自身の学生時代を思い起こせば、常に授業も授業外も先生や友人と一緒に過ごしたことが今の人生の糧にもなっているので、仕事が一気にAIに変わるように、教育も法律や制度も様変わりしたら寂しいな、と思いました。少子化対策からつらつら思いが及んだ教育の質と科学の進歩、なかなかバランスが難しいと思いました。

 

 「保育園落ちた 日本死ね」から7年が経ち、待機児童問題はほぼ終わりました。保育の質が縦のベクトルだとすると、横のベクトルは子育て支援の拡充と考えられます。弊社におきましては、今年で創立から20年を経過する節目を迎え、質重視は基より、今後はより広く必要とされる子育て支援にチャレンジしていきたいと思います。

 

 今年度もどうぞよろしくお願いいます。

株式会社フューチャーフロンティアーズ 代表取締役
株式会社ウェルステート 顧問 橋本恵理  

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