お知らせ

News

「言語の獲得 -マザーズとオノマトペ-」

2023年10月

 

 子どもの傾聴力は生まれる前から発達しており、母親の声をお腹の中で聞いています。誕生後は、自分の世話をしてくれる大人の声を聴き分け反応をするようになります。語りかける機会が多ければ多いほど、子どもの聞く力は育まれます。言葉の獲得には聞く力が必須であり、同時にまだ言葉にならない訴えを大人が受け止め、反応することも不可欠です。思いが相手に伝わる喜びや自分が大切にされていると知ることで自己肯定感が芽生え、子どもは人とコミュニケーションを取りたいと思うようになるのです。

 

 新生児のうちは空腹や身体的な不快感を訴えているだけですが、徐々に様々な感情が芽生え喃語を話したり、手足を動かしたりするなど表現するようになります。その際に、子どもに聞きとりやすく心地よさを感じる、マザーズで話しかけて応対をすると良いです。繰り返し言葉が耳に心地よいオノマトペを織り交ぜて話すことや、わらべうたでふれあい遊びをすることも、聞く力を育むこととなり、言葉の習得に有効です。

 

 マザーズとは、古今東西どの国、どの民族でも子どもを育てる際に使われている共通した特徴を持つ語りかけ方のことです。大人が乳幼児に語りかける際に自然と普段とは違う話し方になります。特徴として、声のトーンが高くなる、抑揚を大きくつけてゆっくりと話す、同じ言葉を繰り返すことなどがあげられます。こうした話し方はまるで歌のようにも聞こえ子どもの注意を引き、聞く力を育み、やがて言葉の獲得へと繋がっていきます。

 

 オノマトペとは音や声、物事の状態や動きを言語音で表した擬音語(擬声語)、擬態語を総称して言います。日本は他の言語に比べてオノマトペが多いことで知られています。例えば昔話を読むと「雀がチュンチュン」「扉がガタガタ」など、多くのオノマトペを見聞きすることとなります。同じ音の繰り返しは耳に残りやすく、真似もしやすいため、長い言葉を発するのが難しい乳幼児期の子どもには、言語発達の面でもとても有効に働きます。

 

 マザーズやオノマトペ使った場面を紹介します。一語文で自動車を指差して何かを伝えようとしている子に「ブーブーがあったね。ブーブー、自動車が好きだね。自動車が走っているね。」と子どもが発した言葉を繰り返し、言いたいことを受け止めていることを伝えます。それから、子どもが一語で表している意味を憶測して、他の言葉に置き換え文章化することで子どもの語彙が広がります。

 

 私たちは子どもたちの気持ちを理解し、代弁しながら言葉の習得に繋がるようにしています。話す力を養い、子どもたちが自己肯定感を高められるように一人一人の気持ちを受け止めながら保育をしていきたいと思います。

(参考文献 PriPri「話すにつながる聞く力を育む」より)

 

フロンティアキッズ加賀町 保育士 鈴木 順子

youtubeバナー