『生きる力』
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『生きる力』

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                                     2018年3月 巻頭文
 朝晩に冷たい風が残るものの、お散歩コースには花のつぼみもふくらみ始め、
春の訪れを感じられるようになってきました。
今年度も残すところあとわずかです。保護者の皆様方には当園の運営に際し、
多大なるご理解ご協力をちょうだいし、この場をお借りして御礼を申し上げます。

「教育とは、学校で習った全ての事を忘れてしまった後に、自分の中に残るものを言う。
そして、その力を社会が直面する諸問題の解決に役立たせるべく、
自ら考え行動できる人間を作ること、それが教育の目的と言えよう」
アルベルト・アインシュタインの有名な言葉です。

 私が保育士になったころ、携帯電話でメールもできず、パソコンを持っている人は一握りでした。
しかしその後たった20年で、一人一台は持っているスマートフォンで、世界中のあらゆる情報に
アクセスできるようになり、様々な価値観に容易に触れることができるようになりました。
20年前、今のこんな世界が訪れることを、私は想像もできませんでした。

 IT技術の進歩により、いくつもの仕事が人工知能(AI)に取って替わられるという話は
よく耳にします。
コンピュータの音声認識など、現在の日々の生活すら、AI技術が大きな変革を起こしつつあります。
さらに今の子どもたちが大人になる20年後には、一番多い職業は「いま存在しない仕事」だと
言われています。

「いま存在しない仕事」に対応できるように、私たち大人はどうすればよいのか。
今までの教育方法は、一斉に知識を与え、子どもがそれを覚えて、その結果をテストで判断するという認知能力の獲得に重きを置いていました。
もちろん、それは今後も必要です。しかしこれからは、まだ答えの出ていない問題も
たくさん出てきます。
そして多様性が当たり前の世界になる中で、自分と違う文化に触れた時にチャンスとできるかどうか、
自分たちで答えを出していこうとする力、つど議論をして考える力、意見を伝えてまとめる力が、
より一層必要となってきます。

 どんなにコンピューターがなんでもやってくれる時代になっても、人間と人間のやり取りは
欠かせないのです。
どう伝えたら、うまく伝わるだろうという試行錯誤を通じて、人間関係の機微を学んでいくのです。
AIが進歩して、人間同士でのやり取りが少なくなっていくかもしれない社会で、
人間関係が希薄なまま、それを学ぶことなく社会に出てしまい、「人間関係が苦手」と思い、
うつなどの病気になったり、ストーカーなどの極端な人間関係しか
構築できなくなってしまったりするのかもしれません。
これからはより一層、人間関係を楽しく上手に営む力が必要とされてくるのではないでしょうか。

それには、ちゃんと甘えられる・大事にされている・愛されているという自信をはぐくむことにより、
熱中できる力、助けられる力、我慢できる力、上手に立ち直る力、なんとかなると思える力などが
身に付いていきます。
これらを総称して非認知能力と言いますが、これを上手に持っている人が「生きる力」を
持っているということになります。
もちろん、学校の成績のようにテストで測れる認知能力も必要ですが、
最近の研究では、それがすべてではなく、また社会に出た時に強く生きられるかとはイコールではないことも分かってきています。

 冒頭のアインシュタインが生きた時代から60年以上たちますが、今あらためてアインシュタインの
言った「自ら考え行動できる人間を育てること」が急務となっています。

 激動の時代を生き抜かなければならない子どもたちにとって、本当に必要な能力とは何か。
この答えを求める姿勢こそが、育児の環境作りを支援する保育事業の責任であり、
パーフェクトな正解の無いなかで、常にベストを尽くそうとする姿勢を、
後押ししてくれる原動力なのかもしれません。

                         フロンティアキッズ上馬 施設長 伊藤由子

3月1日の花言葉 : 「繊細」「優美」「教育」「信頼」

誕生花 : やぐるまぎく(矢車菊 :Cornflower)
      「delicacy(繊細、優美)」「refinement(上品、優雅)」
花言葉の由来 : 花言葉の「繊細」(西洋では「delicacy(繊細、優美)」)は、
         青い花の色にちなむといわれます。「教育」の花言葉はプロシア王妃が
         ヤグルマギクを摘みながら王子たちを教えたことに由来するともいわれます。

 

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